077063 ランダム
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Lee-Byung-hun addicted

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Jealousy × Jealousy 3

Jealousy × Jealousy<3>



いつも以上に賑やかな家族揃ってのソルラルはあっという間に終わり、ソウルの街にも日常が戻った。
ビョンホンにもこの日から簡単な打ち合わせの予定が入っていた。

「みんな明日帰るの?」
ビョンホンは身支度を整えながら鏡を覗く。
「うん。それなりにみんな忙しいらしいわ。」
鏡の向こうには彼の部屋着を片付ける揺の姿が映っている。
彼は鏡に向かってにっこりと笑った。
「そう・・。じゃ、今日は早く帰ってくるからまたみんなで食事しよう。焼肉がいいかな」
「そうね。じゃ、仕度しておく」
揺はそういうとビョンホンの皮のジャケットを手にした。
彼は慣れている動きで揺に背中を向け後ろに腕を伸ばす。
彼の腕にジャケットの袖を通す揺。
そんな日常の共同作業ももう手馴れたものだった。
皮のジャケットがピッタリとフィットした彼の背中。
「やっぱり綺麗ね・・・」
揺は彼が無性に愛おしくなりその背中にしがみついた。
「揺・・どうしたの?」
驚いたビョンホンは前に回された彼女の手を掴んで向き直り彼女を抱きしめる。
「ん?ただあんまり綺麗だったから・・独り占めしたくなったの」
揺は悪戯っぽくそういうと舌をペロッと出して笑った。
「全く・・・意外に欲張りだよね。こんなに毎日独り占めしててもまだ足りないなんて・・」
ビョンホンは呆れたように微笑むと揺を強く抱きしめて気が遠くなるほど深く熱いキスをした。


昼過ぎ。
彼は出先から事務所に帰る途中の車の中にいた。
車窓には明洞の街並みが映る。
相変わらず買い物客で賑わう街の風景を何の気なく眺めていると彼の眼に揺の姿が飛び込んできた。
「揺・・」
声を掛けようと思い運転席のスタッフに止まってくれるよう頼もうと思った瞬間、彼女の後ろに両手に荷物をいっぱい抱えながらソフトクリームを持って駆け寄る晋作の姿を見つけた。
二人の声は聞こえない。
晋作は嬉しそうにソフトクリームを彼女に差出した。
揺はちょっと困った顔をしながらも笑いながら差し出されたソフトクリームのペロッと舐めた。
そして口にクリームを付けたままゲラゲラと笑っていた。
そして晋作から差し出されたソフトクリームを受け取ると彼の口元にそれを差し出した。
そしてまたケラケラと笑っている。
信号がいつのまにか赤から青に変わった。
車は交差点を通り過ぎる。
揺の笑顔はビョンホンの視界からゆっくりと遠ざかった。


「オンニ、オモニったらまだお父さんとお母さんに見せたいお店があるんだって。
オンニ・・大丈夫?疲れてない?」
ウニが揺の体調を気遣って声を掛けた。
「ありがとう。ちょっと人ごみが苦手だから・・先に帰ってもいいかな。ウニちゃん後、任せてもいい?」
「うん。それはいいけど・・オンニ一人で大丈夫?」
「うん。全然平気。気にしないで。」
揺はそっと微笑んだ。
本当はちょっと頭が痛かった。
自分でも気がつかないうちにこめかみに手が掛かる。
「ウニちゃん、俺、ちょっと心配だからタクシーにだけ乗せてくるからさ。先に行っててくれるかな。」
そんな揺の様子に気がついた晋作は皆が心配しないようにあっさりとそう言った。
「オッパはやっぱり優しいね。うん。わかった。じゃお店で待ってるから後で電話して」
「ああ。」晋作はにっこり笑ってウニたちに手を振った。
「お母様、ごめんなさい。お先に戻りますね。父と母のことよろしくお願いします。」
「ごめんなさいね。一人にして。揺ちゃん気をつけて帰ってね」


「お前、大丈夫か?頭痛いんじゃない?家まで送っていこうか?」
皆と別れ二人になってから、晋作が心配そうに声を掛けた。
「大丈夫よ。心配性ね。相変わらず・・でもありがとう。助かった。」
揺はそういうと苦笑いした。
「我慢しないでちゃんと言いたいことは言えよ。身体に悪いから。」
「うん。わかってる」
「せっかく、助けてやったんだから身体大切にしろよ。」
「うん。わかってる」
「じゃ、ちょっとタクシー捕まえてくるからここに座って待ってろ。」
晋作はそういうと両手に荷物をいっぱい抱えたまま大通りに向かって走っていった。
「晋さん、荷物・・」
荷物を置いていけばと声を掛けた揺の言葉を聞くこともなく晋作は明洞の街を走り抜けていった。
「全く・・相変わらずね。」
彼は本当に優しい・・・時に優しすぎるんだけど・・だから彼には幸せになってもらいたい。素敵な人にめぐり合って欲しい・・揺は彼の後姿を見つめながらそんなことを考えていた。

「ほら」
揺がぼ~っと待っていると不意に揺の目の前にソフトクリームが差し出された。
「タクシー捕まえに行ってたんじゃないの」
彼の顔を見つめ怪訝そうにそう訊ねる揺に
「だって見たら急に食べたくなったんだから仕方ないだろ。食べたら捕まえに行くって。」
晋作は悪びれずそう答える。
「全く・・子供みたいね」
揺はその行動があまりに彼らしくて可笑しくて呆れて笑った。
「ほら。食ってみ。美味いぞ」揺の顔の前にソフトクリームを差し出した。
「え?いいよ」
「いいから。食ったら頭痛いの治るぞ」
「うそ。」
「嘘だと思って試してみろよ」
晋作は真面目な顔で言った。
揺は馬鹿げてると思い苦笑いしながら、差し出されたソフトクリームをひとなめした。
「どうだ。治っただろ」
「そんなすぐに治るわけ・・・・あ・・治った。うそ」驚く揺。
「ほら。名医を信じろよ」晋作がそう言ってウインクした。
そう自慢する彼が可笑しくて揺はゲラゲラと笑う。
「あ~腕が痛い。これちょっと持ってて」
晋作がソフトクリームを差し出した。
「え?あ、うん」
揺は差し出されたソフトクリームを受け取った。
晋作は両手に溢れた荷物を持ちかえると顔を揺に向かって突き出した。
「何?」
「食べさせて」
「もう・・・ホント子供みたいね」
揺は彼にソフトクリームを差出しながら呆れて笑った。
「早く食べて。みんな心配してるわよ。私はもう一人で帰れるから。」
「わかった。わかった」
晋作はそういうと大きな口でソフトクリームに食いついた。


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